レイモンド・モーア博士とともに

世界的な教育学博士。1915年カリフォルニア州生まれ。ホワイトハウス、アメリ カ合衆国教育省の教育顧問。1937年、南カリフォルニア大学で教育学博士号取得。パシフィック・ユニオンカレッジの教授、教育部長を経て、1951年に日本三育学院学長として来日。1956年よりフィリピン・ユニオンカレッジの学長及び、 大学院部長に就任。1972年からシカゴ、インディアナ、スタンフォード、西ミシ ガン大学等で講座をもつ。


音楽早期教育について


 心理学者によると発達段階には何でも最適な時期が存在し、そのために大人になってからの語学学習に苦労したり、年齢が低いほど海外での学習にすんなりは入れたりするということがおこるらしい。それには神経生理的発達段階が関係していて、たまに早熟の天才児がいたりするが、たいていの場合、3歳で1年かかって習得した同じ物を6歳で1ヶ月で習得できたりするそうだ。早熟である事が天才の証とはかぎらないにもかかわらず、小さい時から不適切な詰め込みを行われた結果(子供は大人を喜ばせたいからドンドンやる)その時期に取得すべき大切なものが失われていたり、大人になって自由意志が発揮できるようになるととたんにやめてしまうという例もよく耳にする。

  ボクなども音楽が好きなのに、ピアノ教師だった母親に過剰にやらされたためか、6歳で地方の小学生対象コンクールに優勝するほど上達したのにもかかわらず逃げ出したくてたまらなくて吹奏楽でトロンボーンを始めたのだ。その後デスクワークが好きという事もあり指揮に転向した。音楽家の中には自分の子供にたいしての音楽教育が消極的になってしまうという人が少なくないと聞く。僕もそうかもしれない。音楽を楽しんで欲しいと思うと、やりたい気分の時にやりたいだけというような話になる。子供はサッカーだのコンピューター、あるいはバレエ、歌と興味が拡散して筋があると言われながら上達しない。最近になって地味な基礎練習の大切さを再認識している。また、親が音楽をやっていると音楽を聴く機会や習う機会に恵まれ、食傷ぎみになることもある。恵まれた環境を与えすぎない事、ハングリー精神を持たせる事も大切な事のようだ。大きくなってから習得に苦労するテクニックや音感がある。それだけは退屈に思われても、苦労しても親が意識してやらせた方が後で感謝されるようである。