近況報告 2003.7月


近況報告といいながら、一年間もなにも更新しないでいることに申し訳なく思っています。口を開けば愚痴になるようなニュース、事件が多すぎる事などは言い訳にもならず、やはり怠け者の性格がいかんのでしょうねえ。毎日何かは捜し物をしている生活にも嫌気は差していますが、これも生来の病気と思って自分につきあっていかねばならぬのでしょう。つきあってくださる方には迷惑でしょうが、よろしくお願いします。

5月のことですが、すぐにフルーズしたり画面が歪んでしまうパソコンをついにあきらめて、勇気を出して買い換えました。データーを移しているときに、メールのデーターをなくしてしまいました。5月26日以前のデーターはありませんのでご了承ください。
買い換えに伴い、ADSLを導入しまして、前よりは多少、メールもこまめに見るようにはなったつもりです。後は、頂いたメールの返事をすぐにするかどうかの問題です。


6月のはじめ、京都、烏丸六角通りにある、淨妙山保存会のお宅で、琵琶を演奏する機会がありました。
6月1日に暦通り夏すがたに衣替えを済ませた涼しげな二階の座敷で、蔵に入れていたおかげで蛤御門の変にも難を逃れた宇治川合戦の屏風の前で、演奏させていただきました。
「淨妙山」も、祇園祭の象徴である32基の山鉾の一つで、題材は平家物語の宇治川合戦です。宇治橋の橋合戦では、三井寺の僧兵「筒井淨妙坊明秀」が橋桁の上で大奮闘しましたが、同じく僧兵の「一来法師」が「悪しう候う淨妙坊」と声をかけ淨妙坊の頭に手を着いて飛び越え、前に出て活躍しました。その飛び越える瞬間の両者をとらえた像を御神体としているのが「淨妙山」だそうです。そんなことから、一時「淨妙山」は「悪しう候山」ともいわれていたそうです。
祇園祭は、素戔嗚尊を祀る八坂神社の祭礼で、貞観五年(863)都に流行した疫病封じのために行われた祇園御霊会が起源といわれています。山鉾が登場するのは南北朝、室町時代になってからで、応仁の乱で当時の山鉾の大部分58基が消失し、一時途絶えましたが、明応九年(1500)再興されました。幾たびかの戦乱、火災に遭遇するする度に、豪華絢爛たる山鉾を再現してきたみたいです。7月17日、山鉾巡行が行われ、祭りはクライマックスを迎えるのですが、実は、7月1日の吉符入りから31日の夏越祭りまで、いろいろな行事が行われる長い祭りです。お暇な方は、24日の還幸祭、花傘巡行などもおたのしみください。

ところでですが、祇園祭を日本三大祭りの一つとして紹介している記事をよく見ます。後の二つは何かというのが疑問です。青森のねぶた、東京の神田祭り、大阪の天神祭り、徳島の阿波踊り、博多どんたく等、三大祭りと称しているのはいくつかありますが、いったいどれを言うのでしょうか。まあ、これとこれとこれと言って決めてしまうのは、野暮なことなんでしょう。


熊本市民会館で続けていただいた肥後琵琶の講座も、最終年度の三年目を迎えました。
五人の受講生に、僕が山鹿良之から教わった曲を練習してもらっています。
それと併せて、熊本大学の安田教授、山鹿市役所の木村理郎氏、放送作家の宮崎真由美氏、西日本新聞社の宇田懐氏が、現存する資料、録音テープの整理等の作業を受け持ってくれています。点在している資料を集めて、オープンリールなどで残っている演奏をCDに残し、演奏者の紹介、曲の解説、テキストなど作成して、熊本地方に伝わってきた琵琶について、興味を持った人が利用しやすい形で整理しておくことが目的です。

この地域に、他の盲僧琵琶とは異なり、琵琶で語られる物語の演目が多数伝えられたのは、琵琶師たちが当道の位で保護されたからだそうです。最近まで、そんな琵琶師が、まだ活躍していました。
その歴史を、将来に伝えることが出来ればいいのですが。

山鹿良之が亡くなってから、今年の6月24日でまる7年になりました。今、肥後地方に伝わった座頭琵琶を演奏できる人は、いなくなりました。
昨年の7月、親族、近親者10数名で行った7回忌法要の後の席で、父親の代から山鹿良之に付き合ってこられた木村理郎氏が、生前山鹿良之から頂いた玉川教海という芸名を、僕に譲るという話がありました。その場の雰囲気で、取りあえずお受けしました。だからどうだといって、なにも変わるわけではないですが。
来年の3月、受講生の人たちの発表の場を企画してもらっています。それを最後に、熊本市民会館での僕の講座は終了の予定です。市の予算でやっていることなので、どうこう言える立場ではないのですが、文化はそれを支える環境があってこそ、存在しうるものだと思っています。肥後琵琶の講座を受講してくれた人たちに、多少なと、責任は感じています。できる限り良い環境を残してあげたい気持ちです。


最近、乾電池の回収ボックスを見なくなったと思いませんか。ちょっと困っています。変わって、プリンターのインクカートリッジの回収ボックスが目に付きます。キャノンとエプソンだけで、僕が今度使い始めたヒューレット・パッカード社のはありません。さて、どうしましょうか。


今年は、「出雲の阿国」が1603年(慶長8年)に京都でかぶき踊りを始めて400年に当たるそうです。それにちなんだ催しが、いろいろ行われているみたいですが、12月に京都の祇園甲部歌舞練場で催される太鼓新歌舞伎「阿国・わらう」に出演することになりました。2週間にわたっての公演です。今からぞお〜としてます。詳しくは、改めてご報告します。


日本は四季の国ではなく五季の国と言いたくなるような、うんざりするほど雨の日の多い今年の梅雨です。電信柱が曲がって見えるような暑い夏さえも、待ち遠しく思います。それはそれでうんざりでしょうが、人の気持ちは勝手なものです。
どうぞおからだご自愛ください。
それではまたです。

2003年 文月 満月の頃