近況報告 2017.4月


人にとって一年の節目を感じることには、それぞれ違いがあろうと思います。正月はもちろんのこと、1月17日、節分、誕生日、3月11日、野球の開幕等。私にとって、桜はその一つです。
桜が咲くころが来たということを感じるようになったのは、おそらく学生時代に呼んだ坂口安吾の小説「桜の森の満開の下」からという気はしますが、その頃は、桜が咲いたということだけを見ていて、季節の流れの中で感じることはなかったのではないかと思います。
この年になって、桜の季節を迎えることにいろいろな思いが浮かび、また、あと何回この季節を迎えることができるかなどとも、時々考えるようにもなりました。年をとるというのは楽しいことです。
私は、人が桜を見上げ、空を見るこの季節が好きです。



人前で演奏したことの無い曲とか、稽古してみたくなった曲を聴いていただこうと思って始めたこの演奏会も、丸三年が過ぎました。今回から四年目に入ります。今までお付き合いいただいた方々に心から感謝するとともに、今後ともお付き合いいただくことを願っております。



今回は、長篠の合戦を前に、武田方に取り囲まれ孤立した長篠城から、使者として城を抜け出し、岡崎城にいる徳川家康に危急を伝えた鳥居強右衛門勝商(とりいすねんもんかつあき)を題材にした「長篠の露」。
平家物語の中から、梶原景時が進言した逆櫓の計を退け、阿波勝浦に上陸した義経軍を記した勝浦合戦、大坂越え、そして平泉以降義経に従った佐藤嗣信の最期の様子を語った「屋島」を演奏します。
お暇がありましたら、どうぞお付き合いください。



   桜咲いて今宵一杯酒の友
   



 

2017年 卯月