近況報告 98.冬


神原組の芝居「奈落浄土」に出演している最中の9月3日、僕は尺八奏者の石川利光氏と一緒に、須山公美子氏の新しいCD「アイスラーソングス」の録音に、谷町のスタジオへと向かいました。 シャンソンやオリジナルを中心に唄っていた彼女が惚れこんだというハンス・アイスラー(1898〜1962)は、ナチズムに抵抗しつづけ、ブレヒトらと共に仕事をしたドイツの作曲家で、僕は始めて彼の音楽を知り、さっそくCD2枚を買うほど気に入ってしまいました。 僕が録音したのは、「野に出よう、友よ」という曲です。尺八と琵琶で演奏しています。他の曲は、吉田幸生、内橋和久らの錚々たるメンバーが参加しています。 興味のある方は、opera club office ( 0797-87-2795)へご連絡下さい。
9月26日京都、鹿ヶ谷の法然院での善気山念仏会で演奏。 18回目のこの会は、毎月26日、おつとめ、梶田貫主の法話の後、毎回いろんな人が演奏しています。 10月はワインの勉強会でしたけど・・・。お経を声を上げて読むということは気持ちのいいものです。 声を出すという行為は、大事なことなのでしょう。わかっていても気づかない事です。 僕はこの日、法然上人に因んで「敦盛」と、鹿ヶ谷にちなんで「俊寛」を演奏し、ちょっとすがすがしい気分になって、その足で大阪の扇町公園での、この前一緒に芝居に出演した友人の結婚パーティに向かいました。
10月5日の十五夜をのんびりと楽しんだ後、6日、尾道の妙宣寺、7日、竹原の本立寺へ。どちらも日蓮宗のお寺です。 「竜の口」という日蓮上人の法難の曲他、2曲づつ演奏しました。 演奏会の後見た、瀬戸内海にのぼる月は、何とも言えない美しい月でした。 三原からJR呉線に乗って3っ目の駅「忠海」から歩いて5分程の本立寺と、その裏山を使って「かぐや姫美術館」(99年の3月3日オープンを目標)を作ろうと、住職の加藤慈念氏、画家の園山春二氏を中心に、只今準備中です。 その日は僕も駆けつける予定です。
11月3日、京都、黒谷の永運院での竹之内淳氏の舞踏公演へ。「自然」(じねん)と題して3年間で500カ所を回ってきたという竹之内氏に、僕と英国人エイドリアン・フリードマンの尺八とで音を出しました。 夕暮れから夜にかけてというシチュエーションは、5月の僕の公演の時と一緒です。 この日は、全てに満足のいく公演でした。 1時間40分の長い公演でしたが、お客さん達もみじろぎもせず、楽しんでくれました。と、思っています。 とてもうれしい夜でした。
11月20日、大阪、中津のミノヤホールへ。 「民族音楽とお香のゆうべ」と題したコンサートで、第1回はペルシャ、第2回インド、第3回中国と、お香の文化のある国を回ってきて第4回が日本。 1部はラベンダー、2部は福寿草の香りの中で、「壇ノ浦」と「安宅」を演奏しました。 去年から今年にかけて、京都の染色家、奥田祐斎氏の工房で、香道の真似事などしてみたり、客席や舞台にお香を置いたりしたことはあるのですが、ホール中香りを満たしてのコンサートは初めてでした。 とても気持ちのいいものです。
11月23日、揖保川町へ。 主催してくれた「むらさき人の会」は国指定重要文化財永富家住宅の庭園「秋恵園」の菖蒲の紫、醤油(むらさき)の里の住人といった意味で「むらさき人の会」としたそうです。 8回目の今回、初めて使う永富家住宅でのコンサートは、播州だから赤穂浪士の話しをということで「義士の本懐」、「那須与一」「安宅」を演奏したのですが、ぎっしり詰まった300人近くの人に、マイクなしでするには、ちょっと大変なプログラムかなと思っていたんですが、やり終わってみると、「俺もなかなかやれるじゃない」と、少し自信を持たせていただきました。 この会の会員の金田弘氏が、今年、僕の郷里出身の高橋新吉をテーマにした「高橋新吉 5億年の旅」という本を出版していて、取材で訪れたとき、僕の兄貴の知ってる店に、何度も食事に出かけたりしていて、「片山君は僕が呼んだみたいなものだ」と言われると、何となくうれしくなるのは、郷土愛と言うものなのでせうか。 ちなみに、事務局の西脇氏と、最初に大阪駅で出会った日は、台風7号の影響で電車が止まった日でした。 会場を見に行った日は、超大型の台風10号が近畿に接近している日でした。 当日は、おだやかな小春日和でした。
土地にゆかりのある曲を演奏する機会の多かった最近の公演の最後は、12月5日大阪四条畷での「楠公を語る」と題したコンサートでした。 ここ四条畷は、太平記の時代、楠正行が三千の兵で、六万の高師直軍と戦った古戦場です。 その楠正行を奉った四条畷神社そばのえにし庵で、正行を語った「小楠公」、そして、その父楠正成を語った「大楠公」を演奏し、郷土史家の櫻井敬男さんに公演をしてもらいました。 何度も訪れたことのあるえにし庵ですが、今回初めて、神社やその近くにある小楠公墓所を散策しました。
以上、最近の主な活動です。

12月に出版された「大阪とっておきの酒場」(風媒社)に僕のいきつけの居酒屋2件紹介しています。本屋で見つけたらパラパラとめくってみて下さい。いい店たくさ ん載っています。どうぞ気に入った店をお探し下さい。
1月15日まで四条畷のガレリア・ロッソ・イケダヤ(0920-79-3585)で開かれてい る「1999年干支100人展」に今年も出品しました。アート感覚を磨くと言うことはなかなかです。


来年は、1月13日和泉市の識字学級でのコンサートからスタートします。
良い年になることを願っています。

それでは またです。
師走 三日月の頃