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中級編


中級編では、トランペットにおける基本的な練習法の紹介をしていきたいと思います。それぞれの練習の目的や、奏法についての説明をしていきます。
その他、練習に関する大事な心構えなども。

まだ編集中です。随時更新していきます!

<中級編目次>

 ・基礎練のメニュー ( 1.呼吸法   2.唇をほぐす(ウォーム・アップ)   3.リップスラー   4.タンギング   5.ロングトーン )

 ・基礎練の順序

 ・音を聴く

 ・理論と実践 (頭で知っていることと実際に演奏すること)

 ・休憩・考えて練習

 ・アンブシュア

 ・音のイメージ

 ・夢中になっている気持ち

 ・Q&Aコーナー ( 高音を出すには?  唇がバテないようにするには?  硬い音を柔らかくするには? )



基礎練習のメニュー

まずは毎日の基礎練習でどんな練習をしたらよいか、考えていきましょう。
毎日の基礎練習に組み込む練習メニューは、

1.呼吸法  2.唇をほぐす(ウォーム・アップ)  3.リップスラー  4.タンギング  5.ロングトーン です。

(この他にも音階やアルペジオなどがありますが、ここでは必要最低限にするために、あえて省略してしまいます!)

それでは、それぞれについて詳しく説明していきましょう。

1.呼吸法

管楽器は息が音を作り出します。というわけで、管楽器で一番大事なことは、息です。
ここでは、「息の吸い方」について説明していきます。

その前にまず、呼吸について基本的なことを確認しておきましょう。

■「腹式呼吸」?■

この言葉、聞いたことありますよね?でも実は意味をとりちがえやすい言葉なんです。

「腹式」と言っても、実際はお腹に息が入るのではないですよね?

私自身、この言葉に惑わされたものです。「腹式」と言うので、「お腹に吸う」というイメージがあり、かえってお腹がかたくなって息が吸えない状態に陥っていました。
勘違いしてはいけないこと、それは、「息は肺にしか入らない」ということ!決してお腹に息は入りません。


それなのになぜ、「腹式呼吸」と言うのか・・・

その理由は、横隔膜を下げて肺を下(お腹の方)に広げて深く息を吸うと、お腹がふくらむからです。お腹がふくらむのでお腹に息が入っているように見えるんですね。
実際は横隔膜が下がっているわけです。(ただし、横隔膜は、息の吸い込みだけに働き、吐き出しには働かないということ、また、不随意筋と言って、意識的に直接動かすことはできない筋肉であることを知っておきましょう。)

これを勘違いすると、お腹に力を入れて膨らませようとして逆に息が吸えなくなってしまうという、悲しい結果になってしまいますのでご注意・・・。


■チェック・ポイント■

まずは、いい呼吸ができているかのチェックポイントをいくつか示しますので、自分をチェックしてみましょう。



 ・いい姿勢を保っている(いい呼吸の大前提)。特に、猫背にならずに胸部を自然に持ち上げ、同時に、背中を反らない。

 ・息を吸う時も吐く時も、体や首がリラックスしている。

 ・息を吸った時にふくらむのは、みぞおちの辺り(上腹部)だ。(下腹部がふくらむのではない。) 

 ・息を吸った時、胸部も少し自然に拡がる。 

 ・息を吐いている間も、みぞおちの辺りは膨らんだままで、むしろ突き出るような時もある。 


どうでしたか?

これらのポイントは、よい呼吸ができている場合に表れる特徴です。

特に、下腹部を一生懸命膨らませている人は意外に多いと思いますから、注意してください(下腹部を膨らませていると、横隔膜がうまく使われていませんので、特に高音域に限界があります。下腹部は少し引っ込むのが正しいのです)。


■良い呼吸のための3原則■

さて、よい呼吸をするために、以下の3つの点に気をつけてみて下さい。(もちろん、その前に、良い呼吸の大前提は、良い姿勢を保っていることです。)


●一つ目は、身体全体、特に、お腹や首をリラックスさせること。

横隔膜を下げると、その下にある内臓(主に胃)が押されてお腹がふくらむわけですが、お腹が硬くなっていると、それができずに横隔膜を動かすことができません。

特に、いはゆる「腹筋」(お腹の正面の鍛えると「割れる」ところ、正確には「腹直筋」)を硬直させないようにしましょう

お腹はリラックスして、やわらかくしておくことが、いい呼吸の第一歩です。

(身体全体のリラックスについて、より詳しくは、上級編「リラックス」の項へ)



●二つ目は、"O(オー)"ののど、あくびののどで吸う(吐く)こと。

「オー」というつもりで、そののどで息を吸ってみてください。のどが開き、自然にお腹の深くに息を吸えると思います。
あくびする時ののどをイメージするのもとても良いです。

のどを開いて吸えたら、吐くときもその状態のまま、のどを開いたまま吐くようにしましょう

これが自然にできるようになったら、のどの「前」だけでなく「後ろ側」も開いていることを感じながら呼吸できるとなお良いです!(のどの後ろ側は特に高音に関わっていきますので。)



●三つ目は、背中下部に吸うこと。

お腹はリラックスしたまま、背中下部に吸うようにします。
背中下部というのは、もう少し正確に言うと、背中の下のほうの、肋骨の一番下と腰骨との間の部分のことです。

この部分に息を落とすように吸うと、横隔膜が正しく動きますし、みぞおちが膨らみ、自然に胸部も拡がります。

ただ、注意しなければならないのは、リラックスを忘れないことです。どこかに力を入れて無理やり膨らませようとしたりすると、逆効果にしかなりません。
自然に、柔軟なまま身体を使うよう心がけましょう。


あまり難しく考えすぎず、この3点を意識して、いい呼吸ができるようにしましょう!

そして、いい呼吸ができることは、この先の練習全ての大前提になります。音を出すことの全ての前提は、いい呼吸です!!!!!!!!!


■練習方法■

呼吸法の練習法はいろいろありますが、ここでは一番単純なものをやりましょう。

メトロノームを60にセットします。


(1a) 4拍かけて吸う → 4拍止める → 4拍で吐ききる → 4拍リラックス → 4拍かけて吸う →・・・(繰り返し)

(1b) (1a)の「4拍止める」をカットして行う。
    4拍かけて吸う → 4拍で吐ききる → 4拍リラックス → 4拍かけて吸う →・・・(繰り返し)


(2a) (1a)を全て8拍に変えて行う。

(2b) (1b)を全て8拍に変えて行う。


お腹と首のリラックス、「オー」ののど(あくびののど)、わき腹に吸う、を忘れないようにして下さい。

1も2もaパターンの練習は、息を吸うからだを作ることが目的です。

  吸う時は、初めの1拍で吸い終わったりしないで、4拍であれば4拍かけて一定に吸います

  止める時は、お腹のリラックスは保ったまま、深く吸えているかを確認し、からだにその感覚を覚えこませます。

  吐く時は、吸うとき同様、一定に吐くようにします。初めの1拍で吐ききってしまわないように。

  吐き終わったら、吐いた時のお腹の緊張を吸うときにも持ち越さないように、リラックスの状態を再び作ります。

この繰り返しです。

また、1も2もbパターンで「止める」をなしでやる練習は、実際に楽器を吹く時のための練習です。


ポイントは、「吸う」と「吐く」を間をあけずにつなげて行うことです。これはものすごく大事です!!

吸ってから一度息を止めて、それから吐く、というのはよくありません。吸う動作と吐く動作がスムーズにつながるようにしましょう。このスムーズさが、息の流れのスムーズさにつながり、さらに音のスムーズさになるわけです。

2.唇をほぐす(ウォーム・アップ)

呼吸を確認して、身体がほぐれてきたら、次に唇をほぐしていきます。

中級編では、唇をほぐしていくことをウォーム・アップとします。
方法は、2つ。「ブルブル」と、マウスピースです。

(1) 「ブルブル」

「ブルブル」という言葉は私が勝手に使っている言葉なのですが、唇全体をブルブルと震わせることです。
唇を軽く閉じて、息を出し、唇全体を震わせます

この時意識することは、息を深く吸えているか、唇がほぐれてきたか、の2点です。

ポイントは、あまり強い息ではなく、ソフトな息で長く続くようにやることです。
強い息でやってしまうと、強い大きな音しか出ない硬い唇になってしまいます。それでは意味がありませんね。ソフトに、一息でできるだけ長く続けるようにやってみて下さい。

ソフトな息にも唇が反応できるようになるまで、呼吸をチェックしながら、続けます。
何秒続けられたか、毎日記録を作るつもりでやってみましょう。30秒続くといいですね。

(2) マウスピース

次に、マウスピースで音を出します。

まずおことわりしておきたいことがあります。マウスピースの練習については、「やらないほうがいい」「意味がない」という考え方もあります。私自身、そのような意見を持っていた時期もありましたから、その意見の理由も理解できます。
しかし、その後の経験によって、練習のしかたや目的によっては、マウスピースの練習はいい結果(唇の柔軟性、マウスピースの圧力の軽減、音程などに対して)をもたらすことがある、と今は考えています。
ですから、ここでもマウスピースの練習を取り入れることにします。

■注意■
マウスピースの練習には、注意しなければならないことがあります。

それは、無理に音を出そうとしないこと、楽器をつけた時に近い抵抗を作って練習すること、ノーアタックでやること、です。


無理に音を出そうとしない

マウスピースだけで音を出す時は、楽器をつけた時とは抵抗が違いますので、音が出にくくなる人が多いと思いますが、無理に音を出さないように気をつけましょう。

唇を無理やり締め付けたり、マウスピースを強く押し当てたりしては練習の意味がなくなってしまいます。
もし音が出なくても、それより大事なことは、息がスムーズに出せているか、マウスピースを押し付けていないかです。

 →特にウォーム・アップ時は、初めは息の音だけで音にならなくても全く構いません。だんだん音になるまでの時間が短くなれば大丈夫です。あくまでも、第一に息がしっかり流れることが大事です。(こんな感じでOK

この2つは絶対に守りながら、辛抱強く音が出てくるのを待ちましょう。


楽器をつけた時に近い抵抗を作る

マウスピースそれ自体だけだと、抵抗が小さすぎて楽器をつけた時の状態とほど遠くなり、無理やり音を出そうとするなどの被害が出ます。
ですから、ある程度自分で抵抗を作ってやって練習する必要があります。

方法としては、(1)タオルや指でシャンクの先を少しふさぐ(2)"berp(バープ)"を使用する初級編教本紹介のページ参照)、の二つがあります。


ノーアタックで吹く

ノーアタックとは、タンギングをしない音を出すことです。
一日の練習の始めからタンギングをしてしまうと、タンギングに頼って音を出すことになってしまいます
タンギングに頼って音を出す唇を作ってしまうと、ppの発音ができなくなったり柔軟性が低くなったりしてしまいます。

それを避けて、反応のよい唇を作るために、一日の始めはノーアタックで唇の反応を確かめる練習が必要です。



■練習方法■

(※以下は、初級編で説明してある「舌の動きが音の高さを変える」ということが前提で進んでいきます。
 "Ku""Ko""Ki"を使って息の速さを変える練習をまだしていない方は、初級編をまずお読み下さるようお願いします。)


●トンプソンの『バズィング・ブック』を使用することをお奨めします。

・この教本の、No.1からNo.4を、マウスピースで、指示通りの音量とグリッサンドを守りながら行います。
(慣れてきたら、No.5から後ろもできるところまでやりましょう。)

  息と唇のバランスについての解説をよく読んで、息の流れとアンブシュアの筋肉のバランスをつかんで下さい
  トンプソン氏の指示にはありませんが、ここではウォーム・アップとして練習しますので、ノーアタックでやりましょう。


・さらに、p.30のNo.2aをマウスピースでやりましょう。

  楽譜の通り、ロングトーンをしながら、半音音を下げていきます。
  この時、舌の高さによって音を下げていきましょう舌を下げることで、音を下げていってください。
  柔軟性を確保しながらロングトーンの練習ができますし、息の流れと舌の位置の確認が同時にできます。


●バズィング・ブックをお持ちでない場合は、下のドと真ん中のソのリップスラー(ド-ソ-ド)を、マウスピースで行いましょう。

  この時、完全なリップスラーではなく、わざとグリッサンドにして行います。
  グリッサンドにすることによって、唇の柔軟性を確保することができます。
  同じ音型で半音ずつ下がり、ファ-ド-ファまで(ファはペダル音域)行いましょう。

3.リップ・スラー

 呼吸を確認し、唇がほぐれてきたら、次にリップスラーを行います。

 「リップ」スラーとはいいますが、唇の動きだけで音を変えるのではありません
 初級編で説明した通り、音の高さを変えるのは、喉と舌です。


 ●喉については、初級編でも説明しました通り、その高さの音を声で歌うのと同じことですから、それ自体は特に難しいことではありませんね。
 ただし、のどが閉まった汚い声で歌うのではなく、のどを開いて響きのある声で歌う時と同じ、でしたね!


 ●舌の動きについては、"Ku""Ko""Ki"を使い、息のスピードを変える練習をしっかり積んでいれば、リップスラーは全く恐くありません。
 まだ不十分な方は、初級編に戻り、それぞれの息の音の違いをよく聴き、自分で自由に再現できるように練習しましょう。


 ここでは、舌の動きにプラスして、ちょっとしたポイントをお教えしましょう。


 舌を動かすと、息の流れやすさが変わりますから、舌が動いても息の流れを維持しようと意識しましょう。
 楽器のベルの先までしっかりと息が流れていることをイメージしましょう。

 そして一番大事なポイントは、振動を止めないことウォーミングアップでやったグリッサンドの感覚を思い出してください。
 楽器でリップスラーをやる時も、グリッサンドの感覚で、振動を止めないようにつなげることが重要です。グリッサンドを瞬間的にやる感じです。
 この感覚がわかると、ドとソがすぐ隣の音のように感じられるようになります


 リップスラーの仕方、わかりましたか?



 ここで、「高い音は唇を締めるんじゃ?」「アパチュアの大きさを変えるんじゃ?」と思った方へ。

 もちろん、唇の周りの筋肉やアパチュア(上下の唇の間のすき間)も変化します。
 が、通常の音域(低いラくらいからハイBくらいの範囲)ではこれは自分で意識的に変化させるものではないと私は考えます。

 唇の周りの筋肉やアパチュアは、息のコントロールの結果として、それに合わせるように受動的に変化するものだと考えたほうがいいでしょう。息のスピードが速くなった結果、息と唇のバランスを保つために唇の周りの筋肉を締め、その結果アパチュアは小さくなるわけです。

 特にトランペット奏法においては、アパチュアの変化というものは直接唇によってコントロールできるものではないと思います。意識的に直接唇によってアパチュアを変化させようとすると、普通、リム内の唇に余分な力が入り、柔軟性を失ってしまいます。あくまで、アパチュアや唇は息の流れが変化した結果、受動的に変化するものと考えます。



■練習方法■

以下を、まだノーアタックで行いましょう。

●舌の動きの練習として、ベンディングの練習。

 ベンディングとは、指を使わずに、舌の動きだけで音を下げる練習です。舌の動きを確認するのに最適の練習です。
 スタンプの教本にもありますね。
 真ん中のソを伸ばしながら、ピストンを押さずに、舌の動きだけで半音下のファ♯に下がり、再びソに戻りましょう。
 これができたら、上のドから始めたり、半音ひとつ分だけでなくいくつか下がって戻る練習に発展させていきましょう。

 →こんな感じ。

 →ベンディングの練習の楽譜はこちら


●トンプソンの『バズィング・ブック』をお持ちの方は、No.3からNo.8を楽器で吹きましょう。指示のあるところは、楽器でもグリッサンドで吹きます。


●藤井完氏の『朝練トランペット』をお持ちの方は、p.25の練習1と練習2を行いましょう。


4.タンギング

 リップスラーをやって柔軟性をつくったところで、タンギングの練習をしましょう。

 タンギングのポイントは、息の流れ舌を当てる位置です。


 ■息の流れについて


 タンギングをする時は、まず大前提としてスラーがあります。スラーで吹くときの息の流れ、のどの状態は変えてはいけません。

 
舌の動きだけに気をとられ、息が流れていなかったり、のどや声帯がスラーの時と変わってしまったりすることがあります。それなのにタンギングがうまくいかないと舌のせいにして舌のことばかり考えて・・・ということにならないようにしましょう。

 スラーの時と同じじゃないと音は出ませんね。



 ■舌を当てる位置について

 ・舌をどこに当てるかについては、諸説あります。
  上あご
  上前歯の付け根
  上下の歯の間
  下の前歯の付け根 など。

 ・また、舌のどの部分を使うかについても諸説あります。
  舌先
  舌先は下の前歯の付け根に固定しておいて、舌先より少し後ろを使う など。


 私の考えでは、上の説のどれも正しく、どれも間違っているとも言えます。
 なぜなら、舌の長さ、大きさ、歯並び、口の大きさ(口腔の容積)にはかなりの個人差があり、タンギングをする時の舌の使い方には個人差があって当然だと言えるからです。

 ・さらに、タンギングの種類は一つではありません。
 大雑把に言えば、柔らかいタンギングから硬いタンギングまで、それらニュアンスは無数にあります。出したいと思うタンギングの種類によって、舌を当てる位置は変わります

 ですから、様々な説明の仕方があるのは当然のことですね。

 ・また、音域によっても舌を当てる位置は変わるでしょう。高音域ほど高い位置で、低音域ほど、低い位置で行われる傾向があると思います。



  従って、説明としてはやや無責任にならざるを得ませんが、まずは、明確できれいなタンギングができるベストの位置は、自分で見つけるほかない、ということになります。

 そして次の段階として、様々な種類のタンギングのニュアンスが出せるよう、色々な位置を試してみるしかありません。


 ただ、上記のような多くのヒントはそろっているはずです。舌を当てる位置、舌の使う部分を自分で試行錯誤して、自分にとって一番いいところを採用すればいいのです。


 繰り返しになりますが、タンギングの前提にはスラーがあります。舌だけに気をとられないようにしましょう。



■練習方法■


 タンギングの基本は、テヌートのタンギングです。
 息はロングトーンの時と同じように流れたままにします。そして舌はその流れに節目をつけてあげるだけです。

 最初は、やわらかいタンギングでテヌートで、充分に練習しましょう。



●藤井完氏の『朝練トランペット』をお持ちの方は、p.13の練習4、p.36の練習1をやりましょう。

  あえてテヌートの記号がついていますから、息の流れをしっかりと意識しながら練習することが大事です。


5.ロング・トーン

 最後に、ロングトーンです。

 基礎練といえばロングトーン!と思われる方も多いと思いますが、ここでは一番最後に行います(理由は下の「基礎練の順序」に書いておきますね)。

 ここまでにやってきた、呼吸、のど、舌の位置などを再確認しながら、さらに音の響きに意識をもっていきましょう


 自分の理想の音を強くイメージしながら、響きを作っていきます。

 歌う時のように、のどを充分に開くようにしましょう。「あくびののど」を言われるように、あくびをした時の状態のようにのどを開きましょう。



■練習方法■

●藤井完氏の『朝練トランペット』をお持ちの方は、p.10の練習1をやりましょう。

●アーバンの『アーバン金管教本』をお持ちの方は、p.13のNo.1をやりましょう。

●トンプソンの『バズィング・ブック』をお持ちの方は、p.30のNo.2aをやりましょう。これはベンディングの練習も兼ねており、柔軟性を確保しながらロングトーンの練習ができます。息の流れと舌の位置の確認が同時にできます。



以上が、毎日の基礎練習のメニューです。
ここからは、中級者なら考えておきたいことについていくつか記していきたいと思います。


基礎練の順序

基礎練習は、その内容ももちろん大事ですが、順序もとても大事です。
同じ内容をこなしたとしても、順序次第で効果がだいぶ変わるでしょう。

私は上記のような順(呼吸→唇→リップスラー→タンギング→ロングトーン)で基礎練習を行うことをお勧めします。
理由を述べていきましょう。

最初に呼吸の練習。これは当然ですよね。息がスムーズに出ないとリップスラーもタンギングも何もかもできません。

次が唇。唇の反応が良くない状態で練習を始めると、無理に唇を締めたり、無理に息を押し込んだり、タンギングが荒くならざるを得なくなったりと、全ての悪循環が始まります。ですから、唇の反応を良くしてから、全ての練習を始めます。

次にリップスラー。柔軟性をまず作ります。柔軟性を作ってからタンギングやロングトーンはできますが、逆に、タンギングやロングトーンを柔軟性のない状態でやって唇が固まってからリップスラーはできません。少なくともかなり効率が悪いです。

次にタンギング。柔軟性を得てから、やっとタンギングに焦点を移せます。

最後にロングトーン。ロングトーンは、息にも唇の周りの筋肉にも、負担の大きい練習です。ですから、息や筋肉が充分に目覚めてから行う必要があります。
(もちろん、上級者はロングトーンを初めの方に行うこともできます。むしろ、本来のロングトーンの練習の意味(呼吸のコントロール)からすれば、ロングトーンは初めの方にする意味が充分にあります。しかし、まだ発達途中の中級者が行うロングトーンは、負担が大きいのが普通です。)
また、ロングトーンでバテてしまってからリップスラーやタンギングの練習をするのは非効率的ですよね。

このような理由で、呼吸→唇→柔軟性→タンギング→ロングトーンという流れで練習を組むようにします。


音を聴く

皆さんは、自分の音を「聴いて」いますか?
もちろん「聞こえて」はいると思うのですが、「聴いて」いるということが、すごく重要です。

音を出していれば、音は勝手に聞こえてきますよね。でも、なんとなく聞こえてくる音を聞いているのでは、なかなか上達しません。
自分の出している音を、よく「聴く」ようにしてみましょう。耳を澄まし、耳を傾け、耳をそばだてて、自分の音をよーく「聴いて」みましょう。


全ての上達は、ここから始まると思います。
全ての上達は、音をよく「聴く」ことから始まると思います。



自分の音をよーく聴くと、いろんなことが見えてくるのです。
「もっとあんな音にしたい」 「ここのタンギングはもっとはっきりした方がいい」 「ここが滑らかにつながっていない」 「この音がつまっているから、その次の高音が出なくなっているんだ」 などなど・・・。


そして、音をよく聴いて、問題点を見つけたら、それをどうやって克服していくか、考えてみましょう。

その克服のヒントは、どこにあるかわかりますか?

解決のヒントも、自分の音の中にあります。
自分の音が《どのように》問題があるのか、出来る限り詳しく聴き取るようにしてみましょう。すると、どうしたらそれが解決されるか、考えが浮かんでくると思います。


その時、考えるヒントにすることこそ、このサイトに書かれたような、からだの使い方に関する様々な知識です
呼吸?喉?舌?リラックス?・・・からだをどう使えば、問題が解決できそうか、考えてみるのです。

自分の音と、からだの使い方を、いつもセットにしておくわけです。



例えば・・・、

リップスラーがうまくいかなかったら、どの音からどの音へ移る時に上手くいかないのかをはっきりさせ、しかも、それが《どのように》上手くいかないのかを、よく聴き、できるだけ詳しくさせていきます。
そして、どうからだを使えばいいのか考えていきます。

音が移ると音がつまってしまっている? 音と音の間が空いてしまう?

・音がつまる →音量自体は変わらないで音がつまる →なぜ?→音が変わる時に、喉が閉まってしまうことが原因の可能性あり
          音量が小さくなって音がつまる →なぜ? →舌を上げた時に、息の流れが負けてしまっていることが原因の可能性あり

・音と音の間が空いてしまう →なぜ? →唇を動かしすぎて振動が止まってしまう、または舌をうまく使えていない、または単純に息の流れが止まってしまっている、などが原因の可能性あり

といった具合です。
文字で書くのはなかなか難しく、あまり詳しく書けませんでしたが・・・。


理論と実践 (頭で知っていることと実際に演奏すること)

ここに書いてあることのように、サイトや本などに書かれたことは、あくまで全て理論や知識にすぎません。書いてあることを理解しただけでは上手くはなりません!

トランペットを上達するためには、理論を知ることはもちろん大事なことですが、私たちは知識を増やすことが目的なのではなくて、実際に楽器でどんな音を出すかということが、本当の目的ですよね。


ここに、2人の対照的ならっぱ吹きがいるとしましょう。理屈君と、がむしゃら君。

理屈君は、呼吸法とかアンブシュアとか、奏法についてやたらと詳しいです。それに、楽器やマウスピースのことについてもやたらと詳しい。それでも、実際に彼が楽器を吹くのを聴いてみたら…あらら。決してうまいとは言いがたい演奏なんです (T_T)

一方のがむしゃら君は、楽器を吹くのはめちゃくちゃ上手い。いつもひたすらがむしゃらに練習しまくっている努力家。でも彼はアンブシュアなんて言葉は知りません。奏法の知識なんて全くありません。


皆さんは2人のうちどちらになりたいですか?

もし皆さんが学者になるのではなく、実際にトランペットを演奏することを楽しみたいのなら、理屈君のようにはなりたくありませんよね。いくら知識があっても、実際に演奏が良くなければ、演奏者としては悲しいですよね。
がむしゃら君のように、何も知らなくても、実際に上手く吹ければそれでいいんですから!!


理屈君とがむしゃら君との大きな違いは何でしょうか?

理屈君のまずいところは、頭だけしか使っていないところです。もちろん頭を使って練習することは、とてもとても大事なことです。
しかし、頭だけで楽器を吹くわけではありません。私たちは、からだで楽器を吹きます。言い換えれば、からだの「感覚」で楽器を吹いているんです。

頭で考えたことも、実際に何度も練習をして感覚としてコツをつかめなければ、決して演奏に表れることはありません。


ですから、まず大事な心構えは、「知っているだけではどうにもならない」ということです。上達するかどうかは、自分で何度も試行錯誤して、感覚をつかめるかどうかにかかっている、ということです。

特に成人してからトランペットを始めた人や、長年トランペットを続けている人ほど、理屈っぽくなって実際には上手くなってない、ということに陥りやすいので注意しましょう!


このページにもいろんなことを書いていきますが、理論や知識は、感覚をつかむための「ヒント」です!!


休憩・考えて練習

みなさんは練習中にどれくらい休憩をとりますか?


休憩は、こまめにとるのが効率的な練習の仕方です。「吹いたのと同じだけ休む。」これが原則です。

休憩をとるべき時のサインは、マウスピースの圧力が高くなってきた時、音の出だしがかすれてきた時、ppが出なくなってきた時などです。
高音が出なくなったり、リップスラーができなくなってきた時などは、もうすでに休憩のタイミングを過ぎてしまったと思った方が良いでしょう。そうなる前に休憩をはさむべきです。

筋肉は負荷をかけた"だけ"では成長しません、負荷をかけた後に休ませてから、成長するのです。
これは憶測ですが、神経も刺激を与えて(練習して)からある程度休息をとらないと新しい回路は構築されないのではないかと思います。


一週間単位で見てみると、週に一日は楽器を全く吹かない日を作っても良いでしょう。
こうすることで、唇を新鮮な状態にリセットすることができます。唇に疲労をためたままいくら練習しても残念ながら上達しません。

「一日吹かないと感覚戻るまで三日かかる」ということを聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
もしこの状態になったとしたら、その人は自分の身体をコントロールして練習していない証拠です。普段の練習でいつも自分の身体がどう動いているのかをしっかり意識して意識的に身体をコントロールし、普段から練習を計画的に組み立てていれば、一日吹かなくても、20分ほど慎重にウォームアップすれば感覚は完全に戻ります。


休憩中は、ただボーっとしてもいいですが、それではもったいないですね

自分の練習を振り返って、自分は何ができるようになったか、何がまだできないのかをはっきり整理してみましょう。
できるようになったことは、自信を持てますね!そして、まだできないことを見つけられたら、それを克服するにはどうしたら良いかを考えてみましょう。


練習方法は改善できないだろうか?息や舌、アンブシュアなどは改善できないだろうか?

「考えて練習すること」はとても大事なことです。論理的に考えましょう。
何が問題で、その解決のためにはどうしたらよいのか。ただひたすらがむしゃらに根性だけで練習していても残念ながらあまり上達はしません。


上達するということは、問題を発見して解決していくことなのです。まずは何が問題なのかはっきりさせてみましょう。これがトランペットの場合なかなか難しいんですよね。口の中も肺も横隔膜も外からは見えませんから・・・。

問題発見の手がかりは、自分のからだがどう動いているのかをよく観察すること、そして、自分の音をよく聴くことです。一流の教師は、生徒の音を聴けばどこに問題があるかすぐわかるといいます。答えは自分の音の中にあるんですね。

問題がはっきりしたら、それを改善するためにはどんな練習をどのようにしたらいいのか、考えて実行してみましょう。


アンブシュア

「アンブシュア」とは、楽器を吹くときの口の形のことです。
トランペットを吹く上で、アンブシュアはとても重要な要素のひとつです。


大事なことは、唇は息の流れとのバランスをとっているということ。
つまり、唇だけでいいアンブシュアを作ろうとしても不可能だということです。息があってはじめて唇の形が決まるのです。


私は、さまざまな本(ホルンやトロンボーンも含め)やクリニック、サイト等から、できる限りの情報を得て、試行錯誤を繰り返しましたが、行き着いたのは、トンプソン氏のアンブシュアのモデルです。

『バズィング・ブック』をお持ちの方は、p.6の図をご覧下さい。息と唇のバランスからアンブシュアは成り立っていることがうまく示されています。

息と唇は互いに反対方向の力をかけ合い、それがつり合った状態がよいアンブシュアです。

息は、唇の中心から放射状に唇を外側に開こうとする力を与えます。

それに対抗して唇は、唇の中心に向かってすぼめるように力を加えます。ただし、マウスピースのリム内の唇は常に柔軟でなければならないので、主にリムより外の筋肉を使ってすぼめるようにします。


音域や音の強さを変化させる時には、息のスピードや量が変化し、それとバランスをとるように唇の周りの筋肉の使い方も変化します。

ただ、息が強くなれば唇の周りの筋肉も強く支え、息が弱くなれば筋肉も緩みますから、どちらか一方の力が強くなるということはなく、バランスをとっているので、アンブシュアの見かけ上の形はいつも同じままです。


特にリップスラーの練習で、音が動くと共に唇も大きく動いてしまう場合は、バランスがうまくとれていない証拠なんです。


音のイメージ

自分の頭の中にない音は、出すことができません。

頭の中でイメージすることができる音を、実際に出すことができます。
音色、音の形など、様々な要素についてできるだけはっきりと音のイメージを持つようにしましょう。


そのためには、多くの演奏家の音を聴きましょう
生で聴くことが一番いいですね。でもそれには限度がありますから、CDなどの録音もたくさん聴きましょう(もちろん、トランペットだけでなく、いろんな楽器、歌を聴きましょう!)。

同じトランペットのプロの演奏家であっても、奏者によって多種多様の音を聴くことができるでしょう。
その中から、自分が一番好きな音を見つけてまねしてみてください。または、好きな演奏家の音のミックスを、自分の音にしてみて下さい。


どんな音がいい音なのか、それは誰にも決めつける事はできません。技術的なこととはちがい、こうすればうまくいく、というものではありません。

どんな音が心を打つか、それはひとりひとりの感受性や価値観によるものですから、決して誰かに教え込まれたり押しつけられるものではなく、自分で感じ、考え、作りあげて下さい。


ハーデンベルガーは公開クリニックの中でこう言いました。「私は、モーリス・アンドレとドクシツェルの音のミックスをイメージして自分だけの音色を作り上げた。」

ハーデンベルガーはドクシツェルに師事していたことがあるそうですが、ふたりの音はそれぞれに個性を確立していますよね。決して弟子は先生のコピーではない。これは教師としてのドクシツェルと弟子としてのハーデンベルガー、両方のすごいところですね。


夢中になっている気持ち

特に、トランペットを始めて2〜5年くらいで、音域も広がってきたり、かっこいい曲や難しい曲もだんだん吹けるようになってきた皆さん、トランペットが楽しくて楽しくて夢中になっていますか?

私自身も、中学生の頃は本当に純粋に楽しいという気持ちだけでトランペットに夢中になっていました。
今のその夢中になっているその気持ちを、忘れないで下さいね。


音楽を奏でる喜び、楽しいという気持ち、それが演奏する時にとても大事なことです。


これからさらに上達していく中で、どこかで壁にぶちあたることもあるかもしれません。
上を目指したい人ほど、壁はやってくることでしょう。
また、緊張感の高い場面で演奏する機会も増えてくるかもしれません。

そんな時こそ、自分がトランペットを好きだという気持ち、夢中になっている気持ちを、大事にしてみて下さい。
きっとその気持ちが音楽に表れ、聴いて下さる人もあなたのトランペットを好きになってくれるでしょう。
きっと壁を越えるための道筋が見えてくるでしょう。

苦しくなりそうな時こそ、トランペットを好きな気持ち、楽しいという気持ちを大事にして下さい。


Q&A よくある悩みと私なりの回答

Q&Aコーナーです。
よくある悩みに対して、私なりの回答を書いていきたいと思います。


■高音を出すには?■

これはトランペット吹きなら絶対に考えることですよね。どうやったら高い音が出せるのか。

チェックポイントをいくつか挙げてみます。みなさん自身をチェックしてみて下さい。

以下のポイントをおさえれば、これくらいの音域は出せる!(私はハイトーンプレイヤーではないのでこんなもんですが・・・)
 (Bb管、普通のマウスピース使用 [Stomvi1リム+2B本体。Bachだと1より少し大きいはずです。])


ポイントは、
(1)呼吸 (2)アンブシュア (3)舌の高さと息の速さ (4)のど (5)リラックス (6)重心

とりあえずこれだけあります。
ひとつずつ詳しく解説していきましょう。


(1)呼吸

呼吸はどんなときも大事なポイントですから、高音においてももちろん重要です。

深く吸えていることが何よりの前提となります。浅い呼吸では高音は出ません。
上の「呼吸法」に書いた通り、いい姿勢を保ち、お腹や首をリラックスさせ、「おー」ののどで肺を下に広げながら息を吸いましょう。


(2)アンブシュア

「高音が出せないアンブシュア」というものはおそらくありません。中音が出せるならば、高音も出せるはずです。

ただし、「高音が出しにくいアンブシュア」はあると思います。
それは、唇を横に引きすぎたアンブシュアです。一昔前までは、「高い音は唇を横に引く」という間違った考え方が多かったと思います。しかし、唇を横に引くと、唇が薄くなりマウスピースの圧力に耐えられなくなるばかりか、アパチュアが小さくなりすぎて振動が止まってしまうことがあります。

なぜ唇を横に引いてしまうのかというと、その原因の多くは、呼吸がうまくいっていないか、のどの状態がうまくいっていないことで、それを補うために横に引いてしまうことになるわけです。

むしろ逆に、高音域では唇をすぼめる力を大きくし、少し唇を突き出すようにします。


(3)舌の高さと息の速さ

息のスピードを速くするための、舌の高さがキー・ポイントです。

「エ」とか「イ」と言う時のように、舌の真ん中から後ろの部分を、上やや前に持ち上げます
舌の高さが不十分だと、高音は難しくなります。


(4)のど

まず、のどが閉まっていると、高音は出ません。

特に、のどの後ろの部分(のどと言うよりは首の後ろ側でしょうか)を開くのがポイントです。
のどの前の部分はよく意識されますが、後ろ側がポイントだということはまだあまり知られていないようです。


次に、(これは実際は高音だけでなく全音域に当てはまることではありますが、)声でその音を歌っている時と同じ喉の状態にすることが重要です。

高音域について言えば、ファルセット(裏声)でその高音を歌っているのと同じ喉の状態にするわけです(そうすると上記の喉の後ろ側の開きを感じることにもなります)。


(5)リラックス

高音だ!と思うと、体がガチガチになってしまっていませんか?
体が硬くなると、高音は出ません。

試しに、自分が普段出せる高音を、わざと体をガチガチにして(肩を上げたりして)吹いてみて下さい。いつも出せる音が出なくなったり、出てもか細くなったりすると思います。

からだがリラックスしているかどうかということは、気づきにくいですが意外なほど影響を及ぼしています

高音では、それに見合ったエネルギーが必要になりますが、体が固まっていると、エネルギーを生み出すことができなくなります。

一見すると、体に力をめいいっぱい入れた方がエネルギーが生まれそうに感じますが、実際はその逆です。
簡単な実験をしてみましょう。

両手で握りこぶしを作って立ちます。まずは、両手や体に力を入れないで、やわらかく握りこぶしを作ります。そうしたら、誰かに強く押してもらいましょう。この場合は倒れたりせずに耐えられるはずです。

次に、握りこぶしを力いっぱい作って、同じことをします。すると、あなたは簡単に倒れてしまうでしょう。

この実験でも明らかなように、無駄な力が入っていると、かえってエネルギーを失ってしまうわけです。


(6)重心

今では有名になってきましたが、J.スタンプ氏の教えに"Keep thinking down going up and thinking up going down"「音が上がる時には下に下がることを考え、音が下がる時には上に上がると考える」というものがあります。

これは、高音域の演奏においてもとても有益な教えです。

自分が難しいと感じていればいるほど、高音を吹く時に重心が上ずってしまうものです。体も上に伸びるように力をかけてしまいます。

これが高音をさらに難しくしている一つの原因です。
本来はその全く逆の動きが必要なんです。

高い音を出すためには、重心を低くしなければなりません。ここで、イメージとしてスタンプの教えが生きてきます。

高い音に行けば行くほど、意識は下へ下へ向けていきます。

実際に、立って演奏する時に高音をひざを曲げて重心を低くして演奏するプレーヤーを見たことはありませんか?ウィントン・マルサリスもその一人です。
みなさんも、実際にひざを曲げたり、または上半身を下に下げるように(胴体を短くするように)しながら、高音を演奏してみて下さい。
そのように重心を低くすることによって、高音は楽になるほずです。


■唇がバテないようにするには?■

まずは、なぜ唇がバテるのか、原因を考えてみましょう。

その原因は、「筋肉が疲れる」、「血行が悪くなる」の2つです。

「筋肉が疲れる」のは、やむを得ないことです。ですから、必ず休憩をとりながら練習しなくてはいけません。練習を積むに従って筋肉も成長してきますから、少しずつ疲れにくくなってきます。

一方、「血行が悪くなる」のは改善することができます。

血行が悪くなるのは、唇にマウスピースが押し当てられるからです。

マウスピースの圧力は、ゼロにはできません。必ず少しの圧力は必要になります。ただ、この圧力はできる限り小さくすることが大事です。
圧力が高すぎると、マウスピースが唇に強く押され続け、血液の流れが悪くなってしまいます。血液は酸素や栄養分を持ってきたり、いらなくなった二酸化炭素などを運んでいってくれているので(中学校の理科で習いましたね!)、その流れが悪くなると、唇はバテてしまうわけです。


それでは、マウスピースの圧力を小さくするにはどうしたらよいか?


(1)マウスピースの練習

マウスピースでの練習は、圧力を減らすことにもつながります。

楽器で圧力に頼って無理に出せる音は、マウスピースでは出せません。楽器で出せるはずの音がマウスピースでは出せないとしたら、それこそ普段圧力をかけすぎて吹いている証拠です。
マウスピースの練習で少しずつ克服していきましょう。


(2)右手の小指のフックを使わない

楽器を構えた時、右手の小指のフックにかけた指で楽器を押し付けてしまうことがあります。
フックから指をはずして吹いてみてください。この時に普段より圧力が減る人は、右手の小指が圧力の犯人です。

特にウォームアップから基礎練習の間は、フックに指をかけないで練習する習慣をつけてみて下さい。
最初のうちは、高音が出なくなるでしょう。でも、いままで圧力でカバーしてきたことを、息の流れや舌の位置などによって改善していくことができます。


(3)唇の開け閉めではなく、息に仕事をさせる

音の高さを変えるときやタンギングする時に、唇を大きく動かしてしまうことも、バテの原因となります。

唇の動きは最小限におさえるのがいい吹き方です。
できる限り、唇ではなくて息に仕事をさせるようにして下さい。

そのためには、呼吸、舌の位置、のどが重要なポイントとなってきます。


(4)すぼめるアンブシュア

これは直接圧力を減らす方法ではありませんが、重要なポイントです。

上の「アンブシュア」にも書きましたが、唇と息は互いに反対方向の力をかけあって、バランスをとっています。
ですから、バランスのとれたアンブシュアでは、唇はすぼめる方向の力をかけています。

これとは逆に、唇を横に引きすぎたアンブシュアは、唇を薄くしてしまい、マウスピースからの圧力に対してとても弱くなっていますし、唇が薄くなった状態は、わざわざ自分で血行を悪くしていることにもなります。

唇を横に引き過ぎないようにしましょう。


■硬い音を柔らかくするには?■

音色については、(1)イメージ (2)のど (3)アンブシュア がポイントです。


(1)イメージ

まずは何より、イメージが重要です。
イメージがなければ音色を変えようがありません。自分はどんな音色にしたいのか、イメージをはっきりと持つことから始まります。
いろんな演奏家の音を聴いて、自分なりのイメージを作りましょう。


(2)のど

基本的には、歌を歌うのと同じです。のどが閉まっているといい声は出ませんよね。楽器でものどを開くことが、いい音色を生み出します。

あくびする時のように、のどをリラックスさせたまま開くようにします。


(3)アンブシュア

唇を横に引きすぎたアンブシュアでは、薄く硬い音になる傾向があります。
この場合は、引く力を減らし、すぼめる力を増やしてみましょう。



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